間違ってこの世に生まれてしまったのかもしれない

とにかく明るい詩を歌うしかない

地獄

車がお年寄りを撥ねとばし、子供を跳ね飛ばし。猫を跳ね飛ばしたことには気づきもしない。

子供が集まれば、一人は階段から突き落とされ、またある一人は奴隷という居場所を得る。

自分を守ることと、相手を殴ることは同義で。

国が人を守ることと、国が人を殺すことも同義だ。

金のない者は売るものもないから、金のある者に気に入られるために、心か身体を商品にするしかない。

 

毎年、80万人が、生きることに耐えられず自分を殺す。

それ以上の数の人が、死なないために、自分をナイフで切りつける。

もっと多くの人が、身体を傷つけられない代わりに、心を傷つける。

 

事実だ。これは、一つ一つ実例を挙げられる、事実だ。

 

本当は別の世界があって、ここが地獄だって言われても、なるほどなあと思うだけだ。

でも、そういう場所に生まれたんだ。耐えられないと思う人たちも、ここはそういうところだって割り切って、助け合って生き延びていくしかない。

 

地獄と違うのは、ここにいるのは鬼と亡者ではなく、全部人間だってことだ。

蜘蛛の糸を自分で紡ぎ出そうとする奴がいたり、針山の痛みを和らげる薬を開発したり、血の池地獄で溺れそうな人に手を差し伸べる人がいる、何の意味もなくたって石を積むのを手伝ってあげる奴とか、こんな地獄で人を笑わせようとしている挑戦者だって、ただ応援する人だっている。

 

地獄にいても、笑えることはある。幸せだと思う瞬間がきっと来る。